【保存版】知っておきたい「熨斗」の種類・マナー・文例まとめ

日本の贈答文化では、熨斗(のし)を付ける・付けないだけで受け取る相手の印象や場の雰囲気が大きく変わります。
結婚祝い・出産祝いなどの慶事からお供え物などの弔事まで、TPOに合った熨斗の使い方を知っておくことで、相手への思いやりや敬意をより上手に伝えられます。今回は、熨斗の種類・マナー・表書き(のし紙に書く言葉)の例文をまとめてご紹介します。
1. そもそも「熨斗(のし)」とは?
熨斗はもともと「熨斗鮑(のしあわび)」という縁起物を簡略化したもの。慶事用の掛紙(のし紙)に描かれる“飾り”を指します。
- 慶事用の掛紙には「のし」と「水引」がセットで描かれます。
- **弔事の場合は「のし」なし(掛紙のみ、水引は黒白もしくは黄白)**となります。
2. 知っておきたい「水引」の種類
2-1. 紅白蝶結び(花結び)
- 特徴:何度でも結び直せる形状
- 用途:何度あっても良いお祝いごと(出産祝い・長寿祝い・季節の贈答品など)
- 例:御中元、御歳暮、出産祝い、入学祝、進学・就職祝い、一般的なお礼など
2-2. 紅白結び切り
- 特徴:一度結んだらほどけない形状
- 用途:一度きりであってほしいお祝いごと(結婚祝い・快気祝いなど)
- 例:結婚祝い、結婚内祝い、快気祝い、快気内祝い など
2-3. 黒白結び切り・黄白結び切り(弔事用)
- 特徴:弔事に使用される水引
- 用途:葬儀や法事などのお悔やみ・お供え
- ポイント:熨斗は付けず、掛紙(弔事用の水引)のみを用いる
3. 熨斗のかけ方とマナー
3-1. 内のし・外のし
- 内のし:
商品(箱)に直接のし紙を掛け、その上から包装紙を包む方法。控えめな印象で、宅配などで送付する際に汚れにくいメリットもあります。 - 外のし:
商品を包装紙で包んでから、その上にのし紙を掛ける方法。手渡しのとき、贈り物だと分かりやすいのが特徴です。
3-2. 表書き(上段)と名入れ(下段)
- 上段(表書き):
「御祝」「寿」「御出産御祝」「内祝」「御礼」など、贈り物の目的やシーンに合わせて書きます。 - 下段(名入れ):
贈り主の名前(個人の場合は氏名、法人の場合は社名など)を書きます。
3-3. 手渡しの際のちょっとしたポイント
- 熨斗紙の正面を相手側に向けて両手で差し出す。
- 「心ばかりですが」「ほんの気持ちです」など、一言添えて渡すと丁寧な印象に。
4. よく使われる表書きと文例
4-1. 結婚祝い
- 水引:紅白結び切り
- 表書き:「寿」「御結婚御祝」
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ご結婚おめでとうございます。 お二人の末永い幸せを心よりお祈り申し上げます。
4-2. 出産祝い
- 水引:紅白蝶結び
- 表書き:「御出産御祝」
- メッセージ例コピーする編集する
ご出産おめでとうございます。 お子様とご家族のご健康をお祈りいたします。
4-3. 内祝い(お返し)
- 水引
- 結婚関連:紅白結び切り
- 出産・快気祝い:紅白蝶結び
- 表書き:「内祝」「結婚内祝」「出産内祝」「快気内祝」など
- メッセージ例コピーする編集する
このたびは温かいお心遣いをいただき、ありがとうございます。 ささやかではございますが、感謝のしるしをお贈りいたします。
4-4. 一般的なお礼
- 水引:紅白蝶結び
- 表書き:「御礼」
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いつもお世話になっております。 ささやかではございますが、ぜひお受け取りください。
4-5. 御中元・御歳暮
- 水引:紅白蝶結び
- 表書き:「御中元」「御歳暮」
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日頃の感謝の気持ちを込めてお贈りいたします。 どうぞご笑納ください。
4-6. 快気祝い・御見舞
- 快気祝い(退院後)
- 水引:紅白結び切り
- 表書き:「快気祝」「快気内祝」
- メッセージ例:コピーする編集する
おかげさまで無事に退院いたしました。 これからもよろしくお願いいたします。
- 御見舞(入院中など)
- 水引:紅白結び切り(蝶結びを用いる地域もある)
- 表書き:「御見舞」
- メッセージ例:コピーする編集する
くれぐれもご自愛ください。 一日も早いご回復を心よりお祈りしております。
4-7. 弔事
- 水引:黒白または黄白の結び切り
- 熨斗:付けない
- 表書き:「御霊前」「御仏前」「御供」「志」など(宗派や地域による)
- メッセージ例(お手紙を添える場合)コピーする編集する
ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。 ご遺族の皆様に、謹んでお悔やみ申し上げます。
5. まとめ
- 熨斗の基本は「慶事用=のし付き」「弔事用=のしなし」
- 水引の結び方
- 繰り返しあっても良いお祝い:紅白蝶結び
- 一度きりであってほしいお祝い:紅白結び切り
- 表書きと名入れ
- 上段に「御祝」「内祝」などの目的を書く
- 下段に贈り主の名前を入れる
- 地域や宗派、家のしきたりで違いがあるため、可能であれば事前に確認
- 内のし・外のしを使い分け、丁寧な贈答を心がける
贈り物は、相手への気遣いや感謝の気持ちを伝える大切な手段です。正しい熨斗の知識を身につけることで、より安心して贈答の場面に臨めます。ぜひ参考にして、素敵な贈り物を演出してくださいね。
画:快晴の飛翔富士